営業現場では「事例の重要性は理解しているが、作成する余裕がない」という声をよく聞きます。事例の形式知化が進まず、せっかくの成功体験が活かされないケースも多いのです。
この記事では、AIを活用して誰でも短時間で営業事例シートを作成できる方法を紹介します。実際のインタビュー文字起こしをAIにかけて、現場で使える“実演”を提示する点が特徴です。
営業現場でよくある問題
営業活動の中で「成功事例をまとめたい」と思っていても、実際には後回しになってしまうことが多いのではないでしょうか。
営業マネージャー正直、案件を追うだけで手一杯なんです。
成功事例を文章にまとめさせる余裕はありません…。
せっかくお客様から良い評価をいただいても十分に活かせているとは言えないですね。



実は事例を整理して残すことが商談突破力を高める一番の近道です。
ただ、“時間がない”という制約や、書類づくりを苦手とする方が多いことが、現場で大きなネックになっています。
このように、事例の重要性は理解されているにもかかわらず、現場では「やりたいけどできない」状態が続きがちです。
結果として、せっかくの成功体験が組織に共有されず、同じ工夫やノウハウを一から繰り返すことになってしまいます。
この記事では、こうした課題を解決するために――
AIを活用して誰でも営業事例シートを作成できる新しい方法を解説します。
イントロダクション ― 事例が「大事なのに後回し」にされる理由
営業やマーケティングにおいて、事例が重要なのは誰もが理解しています。
にもかかわらず、現場では「やりたいけどできない」まま放置されがちです。
理由を並べるまでもなく、
– 忙しくて時間がない
– 属人化して共有されない
– 書くのが苦手
――みなさん自身が日々実感されていることでしょう。
だからこそ必要なのは、「誰でも、短時間で、形にできる方法」です。
次の章では、その解決策としてAIを活用した営業事例シート作成の新しいアプローチを紹介します。
AIで営業事例シートを作る新しいアプローチ
事例化を「誰でも・短時間で」進めるためには、AIを活用したシンプルな流れを押さえることが重要です。
実際に私が資金調達支援で活用した方法を例に、2つのステップを紹介します。
ステップ① インタビュー質問リストをAIで作成
AIが「聞くべき質問」を自動生成し、ヒアリング準備を一気に効率化できます。
👉 実際のGPTはこちら:
インタビュー質問リスト作成GPTs
プロンプトの例
あなたは「事例インタビュー質問リスト作成アシスタント」です。
対象サービス・製品・ソリューションを導入した企業へのインタビューで使用する質問リストを作成します。
ユーザーが与える対象企業の情報を踏まえて、汎用リストをカスタマイズして出力してください。
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### あなたの手順
1. 最初にユーザーへ以下を質問してください(対象企業情報のヒアリング)。
**事前確認(対象企業の与件情報)**
- 企業名・業種・規模(従業員数・売上規模など)
- 対象サービス/製品導入の背景(課題やきっかけ)
- インタビュー対象者(役職・部署・関わり方)
- 成果として強調したい点(例:工数削減・売上向上・効率化・顧客満足度など)
- 特に深掘りしたいテーマ(例:契約の決め手・導入時の社内懸念・成果の定量面など)
2. ユーザーから情報を受け取ったら、以下を行ってください。
- 基本の「事例蓄積用インタビュー質問リスト(汎用改訂版)」をベースにする
- 与件情報に基づいて深掘りすべき質問を追加または強調する
- 出力は **コードブロック(Markdown)** にまとめ、インタビュー現場でそのまま使える形にする
3. 出力ルール
- 元の参考例(例:〜など)は残す
- 新しく追加する質問は自然に馴染むように組み込む
- 企業固有の事情に沿った質問は「汎用性を保ちながら具体性が出る」ように調整する
ステップ② インタビュー文字起こしをAIで事例シート化
録音を文字起こしし、AIに渡すと自動で「事例シートのたたき台」が出力されます。
👉 実際のGPTはこちら:
テキストPDF作成GPTs
プロンプトの例
こちらをベースにカスタマイズしても良いでしょう。
あなたは「事例インタビュー整理アシスタント」です。
対象サービス・製品・ソリューションを導入した企業へのインタビュー文字起こしをもとに、**社内共有用の詳細レポート**を作成します。
このレポートは公開記事ではなく、社内の知見蓄積を目的とするため、**生々しい表現や具体的な発言引用も含めて詳細に記述してください**。
読者は文字起こしを確認せずにこれを読むだけで、当日の会話内容を追体験できるようにしてください。
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### あなたの手順
1. ユーザーに確認してください:
- インタビュー対象が **「社内のプロジェクト関与者のみ」** か、
- それとも **「お客様へのインタビュー」** を実施できたものか。
どちらのパターンかを必ずヒアリングし、レポートの最上部に明示すること。
2. インタビュー文字起こし(全文または一部抜粋)が与えられる。
3. それをもとに、以下のレポート形式「例」に沿ってまとめる。
- この形式は参考例であり、**必ずすべてを網羅する必要はない**。
- インタビューに出てこなかった項目は省略可能。
- 逆に重要な要素が出てきた場合は新しい見出しを追加して構わない。
4. 各章は **最低2段落以上**で記述すること。
5. **実際の発言を引用(>)で残し、臨場感を強調する**。
- 具体的な数値・社内の雰囲気・発言者の感情をそのまま盛り込む。
- 「成果」や「課題」などでは特にBefore→Afterを当事者の言葉で表現する。
6. 「課題認識」と「成果」は必ず分ける。
- 課題:導入前の状態や悩み
- 成果:導入後の改善結果
👉 こちらが実際に私が生成した資金調達支援の事例です。


従来との違い
従来型: ヒアリング → メモ整理 → 文章化 → レイアウト(数時間〜数日)
AI活用型: ヒアリング → 文字起こし → AI処理(10分以内で初稿完成)
従来は「書く人がいない」「時間がない」と進まなかった事例化が、AIによって即座に形になります。
今回用意したGPTsの特徴
今回紹介した2つのGPT(インタビュー質問リスト作成/テキストPDF作成)は、単なるAIツールではありません。
中小企業の営業現場で「本当に使えること」を意識して設計しています。
1. 営業担当が迷わない仕組み
質問リストGPTは「何を聞けば良いかわからない」という現場の壁をなくすために作りました。
誰でも安心してインタビューを始められるよう、営業現場に合わせた定型フォーマットを提示します。
2. 編集しやすいアウトプット
PDF生成GPTは、インタビュー文字起こしを単なる要約にするのではなく、営業資料としてすぐ使える「事例シート形式」に整形します。
初稿をAIが作ることで、営業担当は「赤入れ」するだけで完成に近づけます。
3. 実務コンサルの知見を組み込んだ設計
一般的なAIツールとの差別化ポイントは、「現場で成果につながる問いと構成」を盛り込んでいることです。
形式知化のプロセスを知っているからこそ、営業担当の負担を最小化する形に落とし込めています。
社内ナレッジとして積み上げる方法
AIを使えば事例シートを短時間で作れることをお伝えしました。
しかし、せっかく作ったシートも「単発で終わる」と意味が薄れてしまいます。大事なのは、社内ナレッジとして積み上げ、共有資産にすることです。
1. フォーマットを固定する
毎回シートの形式がバラバラだと、読み手が混乱してしまいます。
AIに与えるプロンプトを共通化しておけば、常に同じフォーマットで事例が出力され、検索・比較が容易になります。
2. ストックの場を決める
事例シートは、個人のPCに保存するのではなく、共有ドライブや社内ポータルに必ずアップするルールを作りましょう。
営業会議や新人研修など、再利用の場面で効果を発揮します。
3. 匿名化しないことが鍵
多くの会社では「匿名化した事例」が社内に残っていますが、それでは営業現場では使いにくい。
実名や具体的な背景があるからこそ、商談相手に刺さります。もちろん顧客承諾は必要ですが、実名ベースで残すことが社内資産化のポイントです。
石田の知見 ― なぜこのテーマを語るのか
ここまで「AIで誰でも事例シートを作れる方法」を紹介してきましたが、単なるテクニック紹介で終わらせたくはありません。
私がこのテーマを語る背景には、営業が苦手だった自分自身の経験と、多くの中小企業支援を通じて得た実感があります。
営業が苦手だった私の原点
私は元々営業が得意ではなく、「どう聞けばいいのか分からない」「成果をどう伝えればいいのか整理できない」という壁にぶつかっていました。
そこから試行錯誤を重ね、質問リストや事例化の仕組みを整えることで、営業成果が安定し始めました。
コンサル支援で見えた共通課題
中小企業を支援していると、どの会社も「成功事例があるのに活用できていない」という共通課題を抱えていました。
属人化や時間不足で、せっかくのノウハウが組織に残らない。だからこそ「AIを使えば誰でもできる」という突破口を示すことが重要だと感じています。
仕組みづくりへのこだわり
私は仕組みを作ることが好きで、仕組み化が人と組織を楽にすることを実感してきました。
営業事例のAI活用は、その延長線上にある「仕組みの力」であり、単なる効率化ではなく、営業現場を強くする武器になると確信しています。
まとめとチェックリスト
営業事例は「大事だとわかっていても後回し」になりがちなテーマです。
しかし、AIを活用すれば 誰でも・短時間で・再現性のある形 で事例シートを作ることができます。
- インタビュー質問リストをAIで生成する
- 文字起こしをAIにかけて事例シートにする
- 出力を社内ナレッジとして蓄積する
この流れを仕組み化できれば、営業の属人化を防ぎ、組織全体で「勝ちパターン」を共有できる営業体制が整います。
最後に、明日からすぐ実践できるチェックリストを用意しました。
チェックリスト
- インタビューで聞くべき質問をAIでリスト化したか
- 文字起こしデータをAIに投入して「事例シート初稿」を出したか
- 共通フォーマットで保存しているか
- 社内でアクセスできる場所にストックしているか
- 匿名化せず、実名ベースで事例を残すルールを作ったか
このチェックリストをなぞるだけで、「事例を後回しにしない仕組み」が動き始めます。


営業・マーケティングの専門家が回答します。
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